2020シーズンを振り返り、そして来季へ…(3)~打線はどうか?~
◎2020シーズンを振り返り、そして来季へ…(3)~打線はどうか?~
佐々岡カープ1年目のシーズンを終え、来季、巻き返しを実現するために、カープが来季に向けてすべきこと、それを今季の成績を振り返りながら考えてみたいと思います。ここまでの2回は投手について考えてみましたが、第3回の今回は打線について考え、来季への青写真を描いてみましょう。
まずは、来季のカープの打線の青写真を描く前に、今季のカープは打順別にどのような打撃成績を残してきたかを振り返ってみましょう。
打率だけを見ると、上位打線にもかかわらず、2・3番の打率が低く、2番打者に限っては、出塁率も3割をわずかに超える程度で、上位打線としては非常に寂しい数字となっています。その一方で、4~7番に関してはは比較的打率が高く、下位打線がポイントゲッターになる傾向が強かったようです。
1.1番打者の出塁率&機動力に課題
カープがリーグ3連覇を成し遂げた2018年の1番打者は主に田中広選手が務めており、その出塁率は.366。今季の出塁率と比較しても、3分も高かったことになります。加えて、1番打者の盗塁数は今季の15に対して、2018年は倍以上となる32。1番打者の盗塁数は激減しています。そこで、今季、1番打者として10試合以上スタメンに入った選手に限って、打撃成績を選手別に見ると…
今季、1番打者はピレラ選手で開幕しました。ただ、ピレラ選手は積極的に振りにいくスタイルであったため、四球での出塁、相手投手に球数を投げさせるケースも少なく、2018年の田中広選手と比較しても、打撃スタイルはまるで正反対という感じでした。また、西川選手もどちらかといえば、ピレラ選手に近いタイプ。西川選手の場合、打率の高さが出塁率の高さにもつながっている側面はありますが…
また、1番打者といえば機動力が必要ですが、1番打者としてのピレラ選手は盗塁0。西川選手は足の影響もあって、盗塁は3にとどまっています。1番打者の盗塁数も減少したことで、どうしてもカープ野球の根幹でもある機動力が弱まってしまうという傾向が強くなりました。
2.2・3番のつながりが悪い
打順別の打率を見ると、2番打者の打率が8番打者と匹敵するくらい低く、出塁率に限っては、投手の打順である9番を除いては、最も低い数字となっています。2番打者の出塁率の低さが打線のつながりをいったん切ってしまうことにつながっているようです。ここには、主に2番打者を務めた菊池涼選手、田中広選手がシーズン前半、なかなか打撃で結果を残せなかったという部分が要因としてはあるでしょう。
3番打者の起用にも苦心しました。3番打者は最終的に、4番を務めていた鈴木誠選手が座ることになりましたが、それまで長野選手が32試合、堂林選手が20試合、西川選手が22試合と、相手投手の左右や相性によって、入れ代わり立ち代わりで、なかなか定まりませんでした。
3.下位打線のつながりは良かったものの…
今季、6番には会沢選手が38試合、堂林選手が27試合でスタメン起用されました。また、7番打者には堂林選手が44試合で起用されました。とりわけ今季、堂林選手が復調を遂げてくれたこともあり、下位打線に厚みをもたらすことが出来ました。
ただ、6・7番は新たなチャンスを作るというよりもむしろ、クリーンアップが作ったチャンスをより得点に結びつけるという意味合いが強い打順。そう考えると、今季の場合、クリーンアップのつながりも悪く、6・7番からチャンスを作っても、その後打順は8・9番につながっていくことになり、どうしてもチャンスを活かせない…そんなケースも多くありました。
では、来季に向けて、どのような打線を組むべきか…
河田ヘッドコーチの就任に伴って、リーグ3連覇時のような機動力…それは盗塁ばかりではなく、ランナーは常に1つ先の塁を目指すという野球を目指すことになると思います。そうなると、より重要となってくるのが上位打線の出塁率ということになるでしょう。
そんな河田コーチの構想の中では1番打者に実績もあり、粘り強く、相手投手に球数を投げさせることが出来る田中広選手の起用を描いているようです。その後、切れ目なく、いかにクリーンアップへつないでいくか、そしてそこからさらに今季はまずまず打率を誇った6番、7番へとつなげていくかということになるでしょう。
ただ、クリーンアップとなれば、3~5番を任せられる打者というのは限られてきます。もちろん主砲・鈴木誠也選手が軸となってきますが、その他にも新外国人選手のクロン選手のパワーは魅力ですし、西川選手の巧みなバッティングもまた欠かせません。この3選手がベースとなり、そこに松山選手や長野選手といった実績のある選手を上手く織り交ぜていくことになるのではないでしょうか。
打線を考える上で、そろそろ始めておかなくてはならないこと…それは次期4番候補、さらには上位打線候補となる若手の育成です。
投手陣は今季、主力が相次いで離脱する中で、若手投手が台頭してきました。さらに即戦力となる投手も厚めに獲得できました。その点では過渡期の峠は少しずつ越えつつあるという印象です。しかし、野手陣に関しては、3連覇時の主力に頼る傾向がある中で、その主力も年齢を重ね、さらに主砲・鈴木誠選手もゆくゆくは大リーグに挑戦することになるでしょう。来るべき過渡期に向けて、種をまいていく必要があると思います。
例えば、1番・田中広選手が機能するならば、将来の上位打者候補を1番の背中を見て学ぶことが出来る2番打者や、もしくは下位の8番打者当たりで、機会を見つけては若手を起用しながら、実績を積ませていくことも必要でしょう。例えば今季、台頭の兆しを見せた大盛選手や宇草選手、羽月選手あたりが該当するでしょう。
それとともに、鈴木誠選手の大リーグ挑戦を見据えて、次期4番候補を下位打線を利用して、積極的にスタメン起用してみることも必要になってくると思います。おそらくはその筆頭候補に林選手や正隨選手あたりが挙がってくるのでしょう。
来季のカープの打線のポイントは…
①上位打線の出塁率を上げ、相手の足元を揺さぶる攻撃を見せることが出来るか?
②上位から中軸、そして6番、7番へとスムーズな打線のつながりを作れるか?
③誰もが次の塁を積極的に狙うという意識で統一できるか?
④来るべき過渡期に備えて、まずは次期上位打線&4番候補を絞り込み、実戦を経験させることが出来るか?
というところになってくるのではないでしょうか。今季、カープは若手を積極的に起用することで、たとえ少なくとも、1軍の空気を体感した選手も多くいました。来季は、まずは主力となる選手がしっかりと土台を築き、その上で、若手選手を上手く織り交ぜながら、勝利と育成を上手く両立していくことが求められます。
かつて、丸選手、菊池涼選手、田中広選手、鈴木誠選手…といったように、若手を少しずつ成長させて、1つの上位打線を構成できたように、大切な部分を主力が担い、若手をカバーしながら、1軍での試合勘を掴ませていく…その点で、打線で主力と若手の戦力差をいかに小さくし、1つのつながりを持った打線としていくか、そこが重要となりそうです。
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佐々岡カープ1年目のシーズンを終え、来季、巻き返しを実現するために、カープが来季に向けてすべきこと、それを今季の成績を振り返りながら考えてみたいと思います。ここまでの2回は投手について考えてみましたが、第3回の今回は打線について考え、来季への青写真を描いてみましょう。
まずは、来季のカープの打線の青写真を描く前に、今季のカープは打順別にどのような打撃成績を残してきたかを振り返ってみましょう。
打順 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四死球 | 三振 | 盗塁 | 打率 | 出塁率 |
1番 | 517 | 146 | 12 | 55 | 43 | 119 | 15 | .282 | .336 |
2番 | 484 | 121 | 11 | 55 | 41 | 97 | 7 | .250 | .307 |
3番 | 480 | 122 | 13 | 58 | 60 | 108 | 8 | .254 | .336 |
4番 | 468 | 133 | 23 | 73 | 59 | 84 | 5 | .284 | .363 |
5番 | 478 | 128 | 8 | 65 | 29 | 87 | 5 | .268 | .308 |
6番 | 438 | 124 | 14 | 58 | 57 | 75 | 6 | .283 | .363 |
7番 | 436 | 123 | 13 | 64 | 47 | 89 | 13 | .282 | .351 |
8番 | 394 | 98 | 9 | 40 | 61 | 87 | 4 | .249 | .347 |
9番 | 387 | 74 | 7 | 33 | 32 | 144 | 1 | .191 | .253 |
打率だけを見ると、上位打線にもかかわらず、2・3番の打率が低く、2番打者に限っては、出塁率も3割をわずかに超える程度で、上位打線としては非常に寂しい数字となっています。その一方で、4~7番に関してはは比較的打率が高く、下位打線がポイントゲッターになる傾向が強かったようです。
1.1番打者の出塁率&機動力に課題
カープがリーグ3連覇を成し遂げた2018年の1番打者は主に田中広選手が務めており、その出塁率は.366。今季の出塁率と比較しても、3分も高かったことになります。加えて、1番打者の盗塁数は今季の15に対して、2018年は倍以上となる32。1番打者の盗塁数は激減しています。そこで、今季、1番打者として10試合以上スタメンに入った選手に限って、打撃成績を選手別に見ると…
選手 | 試合 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四死球 | 三振 | 盗塁 | 打率 | 出塁率 |
西川 | 30 | 125 | 43 | 3 | 10 | 12 | 21 | 3 | .344 | .401 |
ピレラ | 29 | 130 | 35 | 4 | 11 | 6 | 25 | 0 | .269 | .301 |
大盛 | 22 | 91 | 24 | 1 | 13 | 6 | 35 | 5 | .264 | .306 |
長野 | 14 | 52 | 11 | 3 | 9 | 10 | 13 | 1 | .212 | .333 |
宇草 | 11 | 41 | 10 | 0 | 3 | 3 | 7 | 3 | .244 | .295 |
今季、1番打者はピレラ選手で開幕しました。ただ、ピレラ選手は積極的に振りにいくスタイルであったため、四球での出塁、相手投手に球数を投げさせるケースも少なく、2018年の田中広選手と比較しても、打撃スタイルはまるで正反対という感じでした。また、西川選手もどちらかといえば、ピレラ選手に近いタイプ。西川選手の場合、打率の高さが出塁率の高さにもつながっている側面はありますが…
また、1番打者といえば機動力が必要ですが、1番打者としてのピレラ選手は盗塁0。西川選手は足の影響もあって、盗塁は3にとどまっています。1番打者の盗塁数も減少したことで、どうしてもカープ野球の根幹でもある機動力が弱まってしまうという傾向が強くなりました。
2.2・3番のつながりが悪い
打順別の打率を見ると、2番打者の打率が8番打者と匹敵するくらい低く、出塁率に限っては、投手の打順である9番を除いては、最も低い数字となっています。2番打者の出塁率の低さが打線のつながりをいったん切ってしまうことにつながっているようです。ここには、主に2番打者を務めた菊池涼選手、田中広選手がシーズン前半、なかなか打撃で結果を残せなかったという部分が要因としてはあるでしょう。
3番打者の起用にも苦心しました。3番打者は最終的に、4番を務めていた鈴木誠選手が座ることになりましたが、それまで長野選手が32試合、堂林選手が20試合、西川選手が22試合と、相手投手の左右や相性によって、入れ代わり立ち代わりで、なかなか定まりませんでした。
3.下位打線のつながりは良かったものの…
今季、6番には会沢選手が38試合、堂林選手が27試合でスタメン起用されました。また、7番打者には堂林選手が44試合で起用されました。とりわけ今季、堂林選手が復調を遂げてくれたこともあり、下位打線に厚みをもたらすことが出来ました。
ただ、6・7番は新たなチャンスを作るというよりもむしろ、クリーンアップが作ったチャンスをより得点に結びつけるという意味合いが強い打順。そう考えると、今季の場合、クリーンアップのつながりも悪く、6・7番からチャンスを作っても、その後打順は8・9番につながっていくことになり、どうしてもチャンスを活かせない…そんなケースも多くありました。
では、来季に向けて、どのような打線を組むべきか…
河田ヘッドコーチの就任に伴って、リーグ3連覇時のような機動力…それは盗塁ばかりではなく、ランナーは常に1つ先の塁を目指すという野球を目指すことになると思います。そうなると、より重要となってくるのが上位打線の出塁率ということになるでしょう。
そんな河田コーチの構想の中では1番打者に実績もあり、粘り強く、相手投手に球数を投げさせることが出来る田中広選手の起用を描いているようです。その後、切れ目なく、いかにクリーンアップへつないでいくか、そしてそこからさらに今季はまずまず打率を誇った6番、7番へとつなげていくかということになるでしょう。
ただ、クリーンアップとなれば、3~5番を任せられる打者というのは限られてきます。もちろん主砲・鈴木誠也選手が軸となってきますが、その他にも新外国人選手のクロン選手のパワーは魅力ですし、西川選手の巧みなバッティングもまた欠かせません。この3選手がベースとなり、そこに松山選手や長野選手といった実績のある選手を上手く織り交ぜていくことになるのではないでしょうか。
打線を考える上で、そろそろ始めておかなくてはならないこと…それは次期4番候補、さらには上位打線候補となる若手の育成です。
投手陣は今季、主力が相次いで離脱する中で、若手投手が台頭してきました。さらに即戦力となる投手も厚めに獲得できました。その点では過渡期の峠は少しずつ越えつつあるという印象です。しかし、野手陣に関しては、3連覇時の主力に頼る傾向がある中で、その主力も年齢を重ね、さらに主砲・鈴木誠選手もゆくゆくは大リーグに挑戦することになるでしょう。来るべき過渡期に向けて、種をまいていく必要があると思います。
例えば、1番・田中広選手が機能するならば、将来の上位打者候補を1番の背中を見て学ぶことが出来る2番打者や、もしくは下位の8番打者当たりで、機会を見つけては若手を起用しながら、実績を積ませていくことも必要でしょう。例えば今季、台頭の兆しを見せた大盛選手や宇草選手、羽月選手あたりが該当するでしょう。
それとともに、鈴木誠選手の大リーグ挑戦を見据えて、次期4番候補を下位打線を利用して、積極的にスタメン起用してみることも必要になってくると思います。おそらくはその筆頭候補に林選手や正隨選手あたりが挙がってくるのでしょう。
来季のカープの打線のポイントは…
①上位打線の出塁率を上げ、相手の足元を揺さぶる攻撃を見せることが出来るか?
②上位から中軸、そして6番、7番へとスムーズな打線のつながりを作れるか?
③誰もが次の塁を積極的に狙うという意識で統一できるか?
④来るべき過渡期に備えて、まずは次期上位打線&4番候補を絞り込み、実戦を経験させることが出来るか?
というところになってくるのではないでしょうか。今季、カープは若手を積極的に起用することで、たとえ少なくとも、1軍の空気を体感した選手も多くいました。来季は、まずは主力となる選手がしっかりと土台を築き、その上で、若手選手を上手く織り交ぜながら、勝利と育成を上手く両立していくことが求められます。
かつて、丸選手、菊池涼選手、田中広選手、鈴木誠選手…といったように、若手を少しずつ成長させて、1つの上位打線を構成できたように、大切な部分を主力が担い、若手をカバーしながら、1軍での試合勘を掴ませていく…その点で、打線で主力と若手の戦力差をいかに小さくし、1つのつながりを持った打線としていくか、そこが重要となりそうです。
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勝つための得点を生み出すには
いつも楽しく読ませて頂いてます。
ご指摘の4つのポイントはいずれもその通りと思います。その他に気になっているのが、打率、得点ともリーグ二位なのに、五位に沈んだことです。もちろん、中継ぎ陣の苦境が大きな要因ですが、接戦でのここぞの一点が取れないことや、苦手の投手には徹底して打てないことも多かったと思います。4つポイントに加えて、「ここぞの一本が打てる精神力」、苦手を克服するためのスコアラー、打撃コーチの奮起を期待したいです。
ご指摘の4つのポイントはいずれもその通りと思います。その他に気になっているのが、打率、得点ともリーグ二位なのに、五位に沈んだことです。もちろん、中継ぎ陣の苦境が大きな要因ですが、接戦でのここぞの一点が取れないことや、苦手の投手には徹底して打てないことも多かったと思います。4つポイントに加えて、「ここぞの一本が打てる精神力」、苦手を克服するためのスコアラー、打撃コーチの奮起を期待したいです。