<KUNIの雑感647>中日・大野雄投手から考える「完投能力」とは?
<KUNIの雑感647>中日・大野雄投手から考える「完投能力」とは?
現代野球で投手は先発が6回前後まで投げて、その後を中継ぎが1イニングずつ継投し、最後は守護神が締めるという役割分担が主流です。そのため、先発投手が9回まで投げきるという、いわゆる「完投」はかなり減少しています。
しかし、そんな環境にあって、昨季沢村賞を受賞した中日・大野雄大投手は6度の完封を含む10完投を成し遂げました。なぜ大野投手は完投できるのか…カープで昨季3完投の九里投手と2完投の森下投手とで、完投した際に要した平均の球数を比較してみました
大野投手 117.3球
九里投手 133.3球
森下投手 131.0球
このように、九里投手や森下投手が130球を超える中、大野投手は10球以上も少ない球数で完投しています。例えば森下投手が8回まで投げた試合の平均球数を見ると117.5球ですから、大野投手は森下投手より、1イニング少ない球数で完投していることになります。
では、なぜ大野投手は球数を抑えたピッチングが出来るのでしょうか。3投手の昨季のピッチングスタイルを比較してみます。
大野投手
変化球はストレート、スライダー、フォーク、ツーシーム。球種はけして豊富ではないものの、右打者には外角のボールゾーンへのツーシームが非常に効果的で決め球となっています。左打者には徹底的に外角低めで攻めています。また全体的にフォークも大きな武器になっています。
九里投手
ストレートも微妙に動かし、スライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボール、ナックルカーブ、フォークなど、とにかく多彩な変化球を駆使して、相手打者を抑えます。両サイドのボールゾーンはあまり使わず、あくまでゾーンの中で球を動かし、相手打者のバットの芯を外す技巧的ピッチングが持ち味です。
森下投手
九里投手以上にゾーンの中でぐいぐい真っ向勝負していくスタイルで、とりわけ150キロを超えるストレートはど真ん中であろうと全力で投げ込みます。大野投手と同様にストレート、カットボール、カーブ、チェンジアップと球種はけして豊富ではありませんが、カーブを筆頭にどの変化球も一級品です。
そしてもう1つ。1試合あたりの平均四球率を比較してみると…
大野投手 1.39
九里投手 3.03
森下投手 2.35
3投手の中はいずれも積極的にストライクを奪いにいく傾向にはありますが、大野投手の場合、特にツーシームとフォークを上手く使い、結果的にボールゾーンの球を振らせています。決め球があり、外角低めに投げきるコントロールがあるからこそ、相手打者も「追い込まれる前に…」と早打ちになり、それが省エネピッチングにつながっているのでしょうし、四球のリスクを軽減しているのだと思います。
九里投手の場合、変化球は多彩ですが、いわゆる決め球と呼ばれるものはありません。そのため球数を要する傾向が強いのですが、それも九里投手のスタイルでもあります。縦横無尽に球を動かすことで抑えていくために、特に追い込んでからの最後の1球をいかに早く決めるか…ここが球数を減らすカギになるのでしょう。
大野投手にタイプが近いのが森下投手。一級品の変化球と豪快なストレートがありますが、大野投手と違う点はボールゾーンを上手く活かしきれていないという点でしょう。ゾーンの中で真っ向勝負するタイプで、もちろん攻撃的ピッチングは継続しつつ、ストライクゾーンからボールゾーンへの変化球を上手く織り交ぜ、相手の早打ちを誘えば、より効果的に相手を抑えることができるのではないでしょうか。
日本のプロ野球では先発投手は中6日で登板します。それだけの間隔を開け、準備期間を設けているだけに、登板の際は万全な状態で、しかも少しでも長いイニングを投げてほしいもの。
九里投手も森下投手も完投能力のあるタフな投手ですが、長くプレーするためにも、より効率的に相手を抑えるには、ゾーンで攻めるとともに、いかに相手を早い段階で自分の土俵に上げるピッチングを増やしていけるかがエースへの道になるのではないでしょうか。
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現代野球で投手は先発が6回前後まで投げて、その後を中継ぎが1イニングずつ継投し、最後は守護神が締めるという役割分担が主流です。そのため、先発投手が9回まで投げきるという、いわゆる「完投」はかなり減少しています。
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大野投手 117.3球
九里投手 133.3球
森下投手 131.0球
このように、九里投手や森下投手が130球を超える中、大野投手は10球以上も少ない球数で完投しています。例えば森下投手が8回まで投げた試合の平均球数を見ると117.5球ですから、大野投手は森下投手より、1イニング少ない球数で完投していることになります。
では、なぜ大野投手は球数を抑えたピッチングが出来るのでしょうか。3投手の昨季のピッチングスタイルを比較してみます。
大野投手
変化球はストレート、スライダー、フォーク、ツーシーム。球種はけして豊富ではないものの、右打者には外角のボールゾーンへのツーシームが非常に効果的で決め球となっています。左打者には徹底的に外角低めで攻めています。また全体的にフォークも大きな武器になっています。
九里投手
ストレートも微妙に動かし、スライダー、チェンジアップ、カーブ、カットボール、ナックルカーブ、フォークなど、とにかく多彩な変化球を駆使して、相手打者を抑えます。両サイドのボールゾーンはあまり使わず、あくまでゾーンの中で球を動かし、相手打者のバットの芯を外す技巧的ピッチングが持ち味です。
森下投手
九里投手以上にゾーンの中でぐいぐい真っ向勝負していくスタイルで、とりわけ150キロを超えるストレートはど真ん中であろうと全力で投げ込みます。大野投手と同様にストレート、カットボール、カーブ、チェンジアップと球種はけして豊富ではありませんが、カーブを筆頭にどの変化球も一級品です。
そしてもう1つ。1試合あたりの平均四球率を比較してみると…
大野投手 1.39
九里投手 3.03
森下投手 2.35
3投手の中はいずれも積極的にストライクを奪いにいく傾向にはありますが、大野投手の場合、特にツーシームとフォークを上手く使い、結果的にボールゾーンの球を振らせています。決め球があり、外角低めに投げきるコントロールがあるからこそ、相手打者も「追い込まれる前に…」と早打ちになり、それが省エネピッチングにつながっているのでしょうし、四球のリスクを軽減しているのだと思います。
九里投手の場合、変化球は多彩ですが、いわゆる決め球と呼ばれるものはありません。そのため球数を要する傾向が強いのですが、それも九里投手のスタイルでもあります。縦横無尽に球を動かすことで抑えていくために、特に追い込んでからの最後の1球をいかに早く決めるか…ここが球数を減らすカギになるのでしょう。
大野投手にタイプが近いのが森下投手。一級品の変化球と豪快なストレートがありますが、大野投手と違う点はボールゾーンを上手く活かしきれていないという点でしょう。ゾーンの中で真っ向勝負するタイプで、もちろん攻撃的ピッチングは継続しつつ、ストライクゾーンからボールゾーンへの変化球を上手く織り交ぜ、相手の早打ちを誘えば、より効果的に相手を抑えることができるのではないでしょうか。
日本のプロ野球では先発投手は中6日で登板します。それだけの間隔を開け、準備期間を設けているだけに、登板の際は万全な状態で、しかも少しでも長いイニングを投げてほしいもの。
九里投手も森下投手も完投能力のあるタフな投手ですが、長くプレーするためにも、より効率的に相手を抑えるには、ゾーンで攻めるとともに、いかに相手を早い段階で自分の土俵に上げるピッチングを増やしていけるかがエースへの道になるのではないでしょうか。
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