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それぞれの2020年、そして今季へ(48)~野村祐輔投手編~

◎それぞれの2020年、そして今季へ(48)~野村祐輔投手編~

毎年オフ恒例、今季の戦力を1人ずつ、昨季の成績とともにチェックしていく連載。この連載もいよいよ10回を切ってきました。今回は48回目。今回は、今季手術からの復活を目指す野村祐輔投手に注目してみたいと思います。

さて、まずは野村投手が最多勝のタイトルを獲得した2016年から2019年までの投手成績を振り返ってみましょう。

試合被安三振四死自責防御率
2016251630152.21399142462.71
201725950155.115210642482.78
201820760119.11366032564.22
20191865095.1966536434.06

2016年、自身も安定したピッチングを見せ、打線の援護と上手くかみ合ったこともあって、自身初のタイトルで、セリーグ最多勝となる16勝をマークしました。その翌年、黒田博樹投手の引退や、相手のマークがきつくなったことで、相手のエースクラスとの対戦が増え、なかなか好投が報われない登板も増え、9勝どまり。しかし、投球の内容はけして悪くはなく、シーズンを投げ抜きました。

ただ、2018年以降、どうも調子が上がってきません。2年連続で規定投球回数に届かないどころか、2軍と行ったり来たりするような状況が続いています。1軍に昇格すると、数試合は安定した投球を見せるのですが、徐々に球威を失い、好調が持続しない…まるでエンジンがすぐに切れてしまうかのような登板が続きました。

では、前置きはこのくらいにして、野村投手の2020年の成績を見てみましょう。

試合被安打四球死球
13630070.281223
奪三振失点自責防御率完投先発完封WHIPQS
3536364.5801301.465

昨季、プロ入り後初めてとなる開幕1軍メンバーから漏れたシーズン。開幕からは出遅れたものの、7月22日に1軍昇格。7月29日の中日戦では8回無失点の素晴らしいピッチングで昨季の初勝利を手にしました。その後、8月いっぱいまでの6度の先発機会で5度のQSを達成するなど、野村投手らしい安定感を見せました。

しかし、9月に入ると、少しずつ雲行きが怪しくなってきます。9月は月間3勝をマークするも、6回未満で降板することが4度あり、なかなか長いイニングが投げられない登板が続きました。野村投手はホーム、ビジター、地方と、マウンドの違いを苦にしないタイプですが、登板間隔が変わると崩れやすいタイプ…そのあたりも配慮しながら起用していたようには思うのですが、登板を重ねるたびに調子は下降線を描いてしまいます

そして、10月15日の巨人戦。この日も先発した野村投手でしたが、2回を投げたところで首付近を気にする仕草で急きょ、降板となりました。その後、検査を受け、翌日には「右鎖骨静脈血栓症除去術」の手術を受けました。かなり緊急性を要するものだったのでしょう。これで、野村投手の2020年シーズンは終わりました。

6勝をマークしたものの、登板を重ねるごとに、内容が少しずつ悪くなる…近年の野村投手の傾向を示すかのようなシーズンだったように思います。ただ、その中でも6勝をマークしたのは、さすがというところでしょうか。

そんな野村投手の持ち味といえば、ツーシーム、チェンジアップ、スライダー、カットボール、カーブといった多彩な変化球を低めに集める技巧的なピッチングですが、ストレートの球威があるかどうかは最大の調子のバロメータです。ちなみに、昨季の最高球速は143キロですが、平均すれば130キロ台中盤と、現代の投手の球速としては非常に遅いものとなっています。

しかし、それでも好調なときは、そのストレートが浮き上がってくるような伸びを感じます。この伸びがあるかどうかが、野村投手の投球を左右するものであり、これもまた登板を重ねると、その伸びが明らかになくなってしまい、相手にはじき返されてしまう傾向が高まります。

では、野村投手の左右別の被打率を見てみましょう。

【左右別被打率】
対右打者 140打数42被安打 被打率.300
対左打者 140打数38被安打 被打率.271


左打者の方が分が良くなっています。これは今に始まったことではなく、野村投手自身、以前から右打者の方が被打率が高い傾向があります。ただ気になるのは、2019年は約16イニングに1本のペースで打たれていた本塁打が、昨季は約8イニングに1本のペースで本塁打を打たれるようになったということ。それは球威のなさからなのか、コントロールが若干甘くなっている傾向が高まってきたからなのか…何かしら要因があるのでしょう。

また、野村投手といえば、立ち上がりが課題とされる投手が多い中で、立ち上がりが比較的スムーズなのですが、どうしても球速が遅いために、打ち取るまでに時間がかかってしまいます。そのため、球数がかさんでしまい、試合中盤に打たれてしまうことが多々あります。昨季、6回の失点が12と、最も多くなっているのは、その傾向を示しているといえるでしょう。

ただ、先発ならば1イニングでも長く投げてほしいところ。今季は手術からの復帰を目指し、シンプルな体重移動ができるフォームを目指しているようです。シンプルな流れを造れば、スタミナの消費をセーブしながら、自然な形で投げられるということでしょう。

野村投手は入団当初から技巧派であったため、プロで何年もやってきたようないぶし銀の雰囲気がありました。その当時はストレートも平均で140キロ台前半、最速で145キロ前後が出ていました。しかし、近年は球速が5キロほど落ち、どこか40歳前後の投手が投げている雰囲気もあります

まだ30歳前半。まだ枯れる年齢ではありません。だからこそ、もっと攻め切る投球ができるはず。右打者には内角に切り込むシュートを投げ切り、もっと攻めるピッチングを見せてほしいと思います。そして、4年も遠ざかっている2ケタ勝利を実現してほしいものです。


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