【連載】日本シリーズを明日の力に(1)
◎【連載】日本シリーズを明日の力に(1)
日本シリーズも終わり、カープは一昨年に続いて、大きな忘れ物を取り戻すことが出来ないまま、今年を終えました。ただ、この日本シリーズは非常に学ぶべきところが多くあったように思います。果たして、今年の日本シリーズのポイントはどこだったか、そして来季以降にどうつなげていくかを考えてみたいと思います。
第1回目のテーマは…
「自分たちの野球」をもっと洗練していくべき
です。
今年の日本シリーズは「甲斐キャノン」とカープの機動力野球との対決という図式のようになりましたが、もっと広く見てみると、カープの「自分たちの野球」と福岡ソフトバンクの守りという図式ではなかったでしょうか。
そもそも、緒方監督が良く口にする「自分たちの野球」。それって一体何なのか…おそらくは「投手を含めた守りの野球」であり、「機動力野球」であり、「打線はつなぎの意識を持つ」ということでもあるように思うのですが、結果的に「いかに隙を見せずに、そしていかに相手に隙をあらわにさせるか」というのが、カープの野球なのだと思います。
しかし、カープは相手の隙を突き、ほころびを見出そうと、何度も盗塁を仕掛けてきました。一度くらいは送球がそれてセーフになるのではないか…半ばムキになって、強引さを感じるほど。ところが、甲斐選手の百発百中の的中率の前に、もはや相手の隙を見出す方策が浮かばず、万事休すといった状況となりました。
一方で、福岡ソフトバンクにも隙がなかったわけではありません。第2戦でセカンドへの送球がそれた川島選手のエラー、第3戦で加治屋投手の交代時機を逸し、安部選手に満塁ホームランを打たれたシーン。相手の隙は突けたのですが、1つは勝ちに結びつけられず、福岡ソフトバンクは試合を重ねるごとに隙をどんどん埋め、パフォーマンスを高めていきました。
特に第3戦の初回に丸選手の2塁打で菊池選手が本塁を狙うもタッチアウトになった場面。さらに第4戦でも2回に安部選手が本塁で刺された場面。もしこれらが得点になっていたら、日本シリーズの展開も変わっていたかと思います。「紙一重」なのですが、それをアウトに出来た福岡ソフトバンクの守備力の高さ。「紙一重」だから良かったわけではなく、紙一重だからこそ、その差が勝負を分けた大きな力の差につながりました。
そして、福岡ソフトバンクは叩きつけての内野に高いバウンドの打球を転がしたり、第6戦の西田選手のようにスクイズもあったり、その攻撃は多彩でした。相手の隙を見出そうとするだけでなく、主体的な攻撃を見せていました。
一方でカープは積極的に盗塁で次の塁を狙おうという気持ちは見えたものの、どこか無謀で、成功できる根拠が薄くも感じました。しかも、盗塁というものにこだわりすぎたせいか、例えばセーフティバントで揺さぶったり、スクイズで1点をもぎ取りにいったりという場面がなく、作戦がどこか淡泊になっていたようにも感じます。
シーズン中ならば選べた四球も、日頃あまり対戦機会のない投手を相手にすると、ボールの見極めも格段に難しくなります。思っていたよりも四球が少なかったのは、相手投手の技術に加えて、そういった側面もあるでしょう。それもまた焦りに拍車をかけたのかもしれません。
来季に向けて、果たして「自分たちの野球」をどうバージョンアップさせていくかは、大きなポイントになると思います。いかに相手のミスを誘うかというだけでなく、では相手がミスをせず、隙が見当たらないときに、どう攻略の糸口を見出すのか。
この日本シリーズは「機動力=盗塁」ばかりに固執しずきました。相手を警戒させる方法は盗塁だけではありません。むしろ盗塁での失敗を重ねるたびに相手に隙を見せたように思います。ヒットエンドランやセーフティバントなど、盗塁以外でも足を活かす作戦を活用する、盗塁もタイミングが単調にならないようにするなどが必要でしょう。
打力に関して言えば、福岡ソフトバンクにはけして引けを取っていませんでした。あとはどう出塁するか、どう揺さぶるか、そしてどう得点に結びつけるか、守備をいかに固めて隙を埋めるか…カープはそのレベルは非常に高いと思います。しかし、まだ伸びる余地があることは日本シリーズを通じて分かりました。「自分たちの野球」を洗練し、苦境に立たされても打開策を次々と試せるだけのバリエーションを備えたチームになれば、もっと攻撃力は高まるはずです。
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日本シリーズも終わり、カープは一昨年に続いて、大きな忘れ物を取り戻すことが出来ないまま、今年を終えました。ただ、この日本シリーズは非常に学ぶべきところが多くあったように思います。果たして、今年の日本シリーズのポイントはどこだったか、そして来季以降にどうつなげていくかを考えてみたいと思います。
第1回目のテーマは…
「自分たちの野球」をもっと洗練していくべき
です。
今年の日本シリーズは「甲斐キャノン」とカープの機動力野球との対決という図式のようになりましたが、もっと広く見てみると、カープの「自分たちの野球」と福岡ソフトバンクの守りという図式ではなかったでしょうか。
そもそも、緒方監督が良く口にする「自分たちの野球」。それって一体何なのか…おそらくは「投手を含めた守りの野球」であり、「機動力野球」であり、「打線はつなぎの意識を持つ」ということでもあるように思うのですが、結果的に「いかに隙を見せずに、そしていかに相手に隙をあらわにさせるか」というのが、カープの野球なのだと思います。
しかし、カープは相手の隙を突き、ほころびを見出そうと、何度も盗塁を仕掛けてきました。一度くらいは送球がそれてセーフになるのではないか…半ばムキになって、強引さを感じるほど。ところが、甲斐選手の百発百中の的中率の前に、もはや相手の隙を見出す方策が浮かばず、万事休すといった状況となりました。
一方で、福岡ソフトバンクにも隙がなかったわけではありません。第2戦でセカンドへの送球がそれた川島選手のエラー、第3戦で加治屋投手の交代時機を逸し、安部選手に満塁ホームランを打たれたシーン。相手の隙は突けたのですが、1つは勝ちに結びつけられず、福岡ソフトバンクは試合を重ねるごとに隙をどんどん埋め、パフォーマンスを高めていきました。
特に第3戦の初回に丸選手の2塁打で菊池選手が本塁を狙うもタッチアウトになった場面。さらに第4戦でも2回に安部選手が本塁で刺された場面。もしこれらが得点になっていたら、日本シリーズの展開も変わっていたかと思います。「紙一重」なのですが、それをアウトに出来た福岡ソフトバンクの守備力の高さ。「紙一重」だから良かったわけではなく、紙一重だからこそ、その差が勝負を分けた大きな力の差につながりました。
そして、福岡ソフトバンクは叩きつけての内野に高いバウンドの打球を転がしたり、第6戦の西田選手のようにスクイズもあったり、その攻撃は多彩でした。相手の隙を見出そうとするだけでなく、主体的な攻撃を見せていました。
一方でカープは積極的に盗塁で次の塁を狙おうという気持ちは見えたものの、どこか無謀で、成功できる根拠が薄くも感じました。しかも、盗塁というものにこだわりすぎたせいか、例えばセーフティバントで揺さぶったり、スクイズで1点をもぎ取りにいったりという場面がなく、作戦がどこか淡泊になっていたようにも感じます。
シーズン中ならば選べた四球も、日頃あまり対戦機会のない投手を相手にすると、ボールの見極めも格段に難しくなります。思っていたよりも四球が少なかったのは、相手投手の技術に加えて、そういった側面もあるでしょう。それもまた焦りに拍車をかけたのかもしれません。
来季に向けて、果たして「自分たちの野球」をどうバージョンアップさせていくかは、大きなポイントになると思います。いかに相手のミスを誘うかというだけでなく、では相手がミスをせず、隙が見当たらないときに、どう攻略の糸口を見出すのか。
この日本シリーズは「機動力=盗塁」ばかりに固執しずきました。相手を警戒させる方法は盗塁だけではありません。むしろ盗塁での失敗を重ねるたびに相手に隙を見せたように思います。ヒットエンドランやセーフティバントなど、盗塁以外でも足を活かす作戦を活用する、盗塁もタイミングが単調にならないようにするなどが必要でしょう。
打力に関して言えば、福岡ソフトバンクにはけして引けを取っていませんでした。あとはどう出塁するか、どう揺さぶるか、そしてどう得点に結びつけるか、守備をいかに固めて隙を埋めるか…カープはそのレベルは非常に高いと思います。しかし、まだ伸びる余地があることは日本シリーズを通じて分かりました。「自分たちの野球」を洗練し、苦境に立たされても打開策を次々と試せるだけのバリエーションを備えたチームになれば、もっと攻撃力は高まるはずです。
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